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現在27歳、妊娠8ヶ月。

既に妊娠初期の記憶は曖昧だし、「子どもが産まれると考え方が変わるよ」というようなことを聞いたりもするので、全て忘れてしまう前に記録を残しておくことにした。もしかしたら誰かの参考になるかもしれないから、一旦はブログとして公開してみる。
今回は妊活〜妊娠初期編。中期以降のことはまた今度。

何か聞きたいことがあったら Twitter @yukidmy までどうぞ。お古でいらない出産育児用品があるよ〜という友人がいたら是非連絡してね!

※ 本記事は全て個人の体験を記録したものでしかなく、医学的な裏付けなどはちゃんと調べていません。

妊活準備 @ 近所の婦人科

話は数年前に遡る。当時の私は子どもを産み育てることに対して、前向きではないどころか完全に後ろ向きだった。絶対に嫌だというわけでも反出生主義者でもないけれど興味がなかったし、生理不順だし、そのくせ肉体・時間・精神・金銭・社会的な不安要素はいくらでもあったからだ。新しい命を生み出すのは不可逆な行為で、「思ってたのと違うからやっぱりナシで……」というわけにはいかない。自分のことだけでも手一杯なのに、というか自分がまだ子どものようなのに、更に別の人間を養育するというのはハードルが高すぎるしやりたくもないと思っていた。

ところがパートナーは子どもに興味があったから、私たちはたくさん話し合わなければならなかった。価値観のすり合わせだけでなく、キャリアのこと、資産の見通し、親族付き合い、不妊治療、養子……。トピックは多岐にわたり、お互いの考えや人生の方針がそこそこ合致するまでにはある程度の時間を要した。答えのない問いもあるし、人によって考え方は違うから、話し合いの詳細な内容はここには書かないでおく。ふたりでも、なんならひとりでだって十分に楽しく生きていけるし、不安要素が全て消えたわけでもない。それでも今回は「期間・回数を決めて妊活してみる」ということに決めた。

やると決めたらあとは行動するだけだ。先述の通り私はもともと生理不順(多嚢胞性卵巣症候群によるもの)で、自然妊娠にはあまり期待できないことが最初から分かっていた。そこでかかりつけの婦人科でいろいろと相談をし、今後のスケジュールを決めて、血液検査とワクチン接種をした。先天性風疹症候群は非常に怖いので、妊娠を希望するタイミングよりも数ヶ月早めに抗体検査をするのが良いらしい。不妊治療自体は専門のクリニックでお願いすることになった。

読んだ本

ほぼ私個人の記録用だが、それぞれの時期に読んで面白かったかつこのトピックに関係ありそうな本をとてもとても簡単に紹介する。

この時期のことは正直もうあまり覚えていないので、あまり参考にはならないかもしれない。

『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』 / レイチェル・ギーザ / 冨田 直子

男の子のことがあまりにも分からなかったので読んだ。良書だったように記憶しているが詳細はほぼ忘れてしまったので、もう一度読もうと思っている。

『愛するということ』 / エーリッヒ・フロム / 鈴木 晶

愛とは自然に発生する感情ではなく、幸福に生きるための技術であり、学ぶことができる

パートナーとも子どもとも愛をやっていくために読んだ。恋愛や友情も含む人間関係にだって学問と同じように基礎があるのに、それを学ぶ前から発展課題に取り組んでもうまく行くはずがない。

人気の高い本だが、少し古い価値観やホモフォビックな発言も挟まれていた覚えがあるので注意。

『3000万語の格差 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』 / ダナ・サスキンド / 掛札 逸美 ・ 高山 静子

おともだちのまとんさん「3歳までに絵本1万冊を読む」という知育をやっていたのもあり、気になったので読んだ。ただただ読み聞かせ音源を流すだけでは不十分だということが分かり、なかなか大変そうだった。それでも「子供が3歳になるまでは母親は子育てに専念すべきであり、そうでないと成長に悪影響を及ぼす」みたいな三歳児神話(現在では否定されている) よりも納得できたし、具体的な数字を追いやすいから良い目標にはなるのかもしれない。

妊活 @ 不妊治療クリニック

不妊治療専門のクリニックに舞台を移し、妊活に突入した。予想していたよりも大幅に早く終わったので、読みたくない人は飛ばしてほしい。

概要

  • 期間
    • 麻疹風疹ワクチン接種後の避妊期間:3ヶ月
    • ピルをやめて自然妊娠にもチャレンジしてみた期間:2ヶ月
    • 不妊治療クリニックに通った期間:2ヶ月
  • 内容
    • タイミング法+排卵誘発剤服薬
    • 最初の周期で妊娠陽性判定
  • 通院回数:10回
  • 費用:¥85,810
    • 抗体検査と予防接種、男性側の検査も含む
    • 妊娠判定後に妊娠8週目まで受けた検診(自費)も含む

初診時に多嚢胞性卵巣症候群であることが再確認されたので、2022年4月から保険適用となったらしい錠剤を服薬して排卵を誘発する、というのを一度だけやった。通院のタイミングが合わず、つわりが始まって「これが妊娠じゃないほうが怖い」くらいになってから妊娠判定を受けた。分かっていたとはいえ、大人のそれよりもずっと速い心拍音を聞かされて、本当に新しい生命を作ってしまったのだと軽く動揺したことを覚えている。

驚くほどスムーズに終わったからあまり参考にならないかもしれないし、「不妊治療しました〜!」とはやはり言いづらい。でも私の場合は服薬なしでの妊娠は難しかったし、同様のケースも少なからずあるはずだから、妊娠を希望する人にはあまり気負いすぎずに受診することをオススメする。撤退ラインだけは事前に決めておくと良いかもしれない。

金銭的コスト

不妊治療が保険適用対象になったとはいえ自費診療の検査も複数あったし、ほぼ最短で終わった私たちでもこの値段がかかった。もう少し安そうな病院もあったが、通いやすさや評判の良さで選んだから後悔はないし、都内では特別高いクリニックでもなかったように思う。それでもステップアップして長期化すると、肉体・時間・精神的な負担だけでなく金銭的にも大変だろうというのは容易に想像がついた。

自治体によっては不妊治療に対して助成金を出していたり(例:東京都)、健康保険組合が補助してくれたり(例:トヨタ)、様々なサポートを受けられる場合もある。私たちも対象になっているものがあったので、時間のあるときに詳細を調べて、申請期限内に書類を揃えて申請した。

時間的コスト・仕事への影響

不妊治療をする、となって私がまず心配したのは仕事との両立だった。人気なクリニックは混むし時間通りには呼ばれるなんて有り得ない、というようなことばかりを聞いていたし、場合によっては不妊治療のために仕事をやめる人もいるらしい。私が選んだクリニックの場合は朝イチであれば比較的時間通りに終わったが、それでも朝の数時間を通院に使う日が頻繁にあり、これが続けば仕事への影響も出るだろうとは思った。なんで夫が普通に働いている間に私だけ……と思うこともあるにはあった。妊娠に纏わる肉体的・時間的負担はほぼ女性側に偏ってくるものの、現代技術で解決されていないのだからどうしようもなかったし、かと言って毎回一緒に行動するのもあまり意味がないからやらなかった。

幸いなことに裁量労働・フルフレックスな会社に勤めているので、マネージャーに「不妊治療するからランダムに仕事抜けます」と伝えても「他の時間に働けるなら休暇は使わなくて大丈夫、仕事があまりに遅れそうだったら事前に言ってね」としか言われなかった。ありがたい。結局仕事はあまり休まずに済んだが、マネージャー以外には公にしていなかったから、長期化していたらもっとやりづらくなっていたのかもしれない。

読んだ本

『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』 / シェリル・サンドバーグ / 村井 章子

キャリアのことを考えたくて読んだ。自分に完全にフィットする仕事なんてないからチャンスの方を自分にフィットする形に変えるスキルが必要、というのは私も何度かやってきたことなんだろうけれど、言語化できたのは多分初めてで、割としっくりきた。

妊娠初期 @ 産科

通っていた不妊治療クリニックは分娩に対応していなかったので、妊娠6週目あたりから実際に出産する病院を探し始めて、10週で初診に行った。都内の産院事情は(特に無痛/和痛分娩希望の場合)なかなか厳しいので、本当はもっと早く初診予約をとるべきだったが、それを知らなかったのとつわりがつらくて動けなかったのとでこのスケジュールになった。

母子手帳を受け取り、3-4週毎に妊婦検診を受けた。NIPTなどの検査を受けるかどうか悩んだりしたのもこの時期。こういった検査は年齢や週数によって精度が変わるらしく、それなのにあまりまとまった情報が提供されていないので、調べるのも一苦労だった。事あるごとに週数を聞かれるので、胎児の情報をぱっと出してくれるアプリを使い始めた。

安定期に入る前後から近い友人には妊娠を打ち明け始めた。というか食事に誘われると言わざるを得なかった。突然母性に目覚めるなどということは全く無く、流産の確率もまだ高いし、胎動も分からない、という不安でいっぱいの日々を過ごしていた。

つわり

出張先でバスに乗っていたら急に異常な吐き気を感じ、脂汗にまみれながらつわりの時期に突入した。妊娠5週目のことである。旅先なのにぶどうとヨーグルトしか食べられなくなってしまい、ローカルごはんが大好きな私はとても悲しかった。とにかく常に気持ち悪い。夜になると何故か吐き気に加えて胃痛まで悪化する。昼夜を問わず眠くて怠くて、ピルをやめてから荒れていた肌が更にボロボロになって、ついでに便秘も悪化した。

点滴を打つほどの重体にはならずとも十分にしんどかった。吐き気に対しては投薬を受けられなかったが、胃炎や便秘には薬が出たように記憶している。12週頃にはだいぶ落ち着き、13週ではほぼ普段どおりの生活に戻れた。体重は最終的に約3kg減った。これはダイエットが苦手な私にとっては異常事態だった。

私の場合、楽に食べられたものはフルーツやヨーグルト、ゼリーなどのさっぱり系と、意外なところでは麻婆豆腐などの食欲増進系。特にぶどうは洗うだけで済むから準備が楽で、この何もかもが面倒な時期でもよく食べていた。季節が違えばさくらんぼやみかん、いちごなどに頼っていたと思う。白米は問題なく食べられたから、胃炎に悩まされはじめてからは毎朝おかゆを作って梅干しと一緒に食べていた。あとは口内が気持ち悪くなったときのために、飴を持ち歩くようにしていた。逆にどうしても食べられなくなってしまったものはパン、肉や魚、揚げ物など脂っぽいもの、ミルキーなもの、慣れない匂いのする料理。普段はタイ料理が大好きなのに、この時期はパッタイすらも無理になっていた。

下の写真はつわりの時期に食べた社食ランチ。この日はシンプルなうどん(半量)とプチトマトくらいしか食べられるものがなかったし、この量ですら食べきれずに残してしまった。

仕事への影響

社食が食べられないのとお昼寝が必須になってしまったこと、また電車の揺れやエレベーターの加減速ですらも気持ち悪く感じてしまうことから、この時期は出社をほぼやめていた。マネージャーは基本的に「言ってくれないと分からないけど言ってくれたらなんとかするよ」というスタンスだったから、私は「つわりが落ち着くまで在宅勤務にします、仕事がヤバそうだったら言います、仕事以外でも無理になったら言います」と伝えてベッドから働いたりしていた。半日動けずに病休扱いで寝ていた日も少なからずあった。自己肯定感は一気に下がったし、思考もネガティブになって、「ふたり以上の子どもがいる人って……つらさを分かった上でこの時期を複数回経験しているの……!?」というようなことばかりを考えていた。

夫からのサポート

妊娠・出産を通して夫婦仲が悪くなる、という話は世に溢れているけれど、私の場合は今のところ夫への信頼が高まる一方なので、それもちょっと書き記しておく。

つわり期間中に私の心がギリギリ折れなかったのは、夫の献身的なサポートのおかげに他ならない。満身創痍で出張から帰国した日には空港まで車で迎えに来てくれただけでなく、家には複数種類のフルーツが用意されていて、少し食べるだけでも「カロリー摂れたね!」と喜んでくれた。こんな優しさは初日だけだろうという私の失礼で天邪鬼な予想は完全に外れて、食べられそうなものを考えて作ってくれたり、栄養バランスをなんとかしようとしてくれたり、とにかく毎日優しかった。この時期でも飲めるさっぱり系プロテインも見つけてくれた。食べ残しは全部引き受けてくれた。急にその日のスケジュールを変えても、気分転換で行ったラーメン屋さんで食べかけチャーシューだけを渡しても、なんの文句も言わなかった。

ちょっと調子がいいときは車で温泉に連れていってくれたり、私の体調について私以上に調べて観察して詳しくなってくれたり、情緒不安定なボロ雑巾になった私とも変わらずに仲良くして、毎日「育てていてえらい、生きてるだけで本当にえらい!」と励ましつづけてくれたのは、当たり前のようでいてその実とても難しいことだったと思う。私が深夜に気持ち悪くて目覚めても夫には寝てもらうようにしていたし、肉が食べたいときはひとりで焼いてひとりで食べてもらっていたけれど、でもやっぱりしんどかったはずだ。文句のつけどころが無いくらいの対応をしてくれた夫には感謝してもし足りない。

衣食住の変化

衣:まだお腹が出てきたわけでもないのに、お腹を締める服を着ると気持ち悪さと軽い貧血とで体調を崩すようになった。ジーンズやウエストゴムのボトムスも履けないので、ゆるめのパンツかワンピースを着ることが増えた。ワンピースだと検診の日の着替えも楽で良かった。

食:前述の通り。お酒を飲めなくなったことも大きな変化だったかもしれない。

住:ほぼ毎日家で働くようになったがワークデスクに向かう元気はなかったから、ダイニングテーブルの半分くらいが私の仕事場になった。ベッドやソファで丸くなって仕事をする日も多かった。

読んだ本

『妊婦本。~自分らしくいつもどおり AYA KANEKO MATERNITY STYLE BOOK~)』 / 金子 綾

活字モリモリの本を読む元気はなかったのと、早くも服装が変わってきてしまったのとで読んだ。手持ちの服でも組み合わせを変えて工夫すれば意外と着られるものが多いと思えて、少し気が楽になった。

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今回はここまで。に続く。