今の会社に勤めて二年が経過したらしい。なんとなく一年くらいしか経っていないように感じていたけれど、それはきっとひとつのプロジェクトに長い時間をかけていたからで、振り返ればインターンのサブホストやら20%プロジェクトやら昇進やら二回の引っ越しやら凡そ一年では収まらなさそうな思い出が確かにあって驚く。入社時から「ひとつ昇進したら違う環境でも働いてみたい」と漠然と考えていたのを行動にうつして、一週間の休暇の後に今月から新しいチームに異動した。カバー写真はその休暇で撮った満開の桜。マネージャーも友達もたくさん相談にのってくれたし、とてもポジティブに送り出してくれたので、このチームでキャリアをスタート出来たのは幸運だったなと思えた。もらったメッセージカードや最後の人事評価のフィードバックを読むと気持ちが前向きになる。ありがたいことです。新しいチームは仕事内容(と使うツールなど)がまあまあ違うから、まだフルパワーで働けてはいない気がしている。でも今のところ楽しくやれている。・黒いドレスを買った。 View this post on Instagram A post shared by YUKI (@yukidmy)
マネキンが着ていたそれに一目惚れして、しかし安くはないのですぐ購入に踏み切ることもできず、三回も試着をしたのちに降参して買った。何回着てもかわいい。こんなにかわいいのに家でも洗える。シワがつきにくいから旅行にも連れていける。背中のリボンが意外とほどけやすいことにだけ注意。ついでにかわいいけれど何も入らないかばんも買った。かわいいので良し。高校生くらいまでは「かわいい」を受け入れられなかったのに、今は「かわいい」と程良い距離感で付き合えていて、ファッションに関しては特に大人になってから楽しめることが増えたように感じる。・今月は久々にともだちが家に遊びに来たり逆にお呼ばれしたり、一緒にボルダリングしたり、植物園に行ったりして、よく話して自分を解きほぐす月だった。私はずっとひとりでいると視野が狭まって考えが凝り固まって、ついでに物事にポジティブに向き合えなくなるから、たまに色々な方向から刺激を入れてやわらかくしてあげる必要がありそう。 View this post on Instagram A po
食レポが苦手だ。つまり自身の感覚を言語化して他人に伝えることが苦手なのだが、もう少しだけ掘り下げると、私の場合は自分の感覚に対する不信感と言語化の訓練不足とに起因する食レポへの苦手意識を少なくとも十数年は抱き続けてきた。食品メーカーの官能評価やソムリエの試験ではないのだからそこまで深刻に考える必要はないというのに、世間で美味しいと評価されているものや比較的高額なものを口にするたびに「なにがどうして私はこれを『美味しい』と感じるのか」と必要以上に探ってしまって、あまりに複雑な味のものだと美味しさそのものを楽しめないことすらある。自身の感覚を表現するにはそれに対応する語彙が必要になるが、それを私は私の中だけで探し続けてしまって、結局見つけられずに行き詰まることばかりだ。それでも私が食レポへの憧れを捨てきれずにいるジャンルがいくつかあり、その一つがチョコレートである。チョコレートを表現する語彙ついて初めて真面目に考えたのは5年くらい前のことで、どこかの been to bar のチョコレートショップが開催するワークショップに参加したのがきっかけだった。申し訳ないことにショップの名前は忘れてしまったが、当日になって突然知人から「空きがあるから来ないか」と誘われたことは覚えている。用意された様々な種類のチョコレートを見て、嗅いで、割って、齧って、舌の上で溶かして、それからようやく飲み込む。普段の食事よりも数段丁寧に行うその作業を通して感じたことをひとつずつ言葉にする。この難しそうな作業を行う際にショップの方が駆使していた様々な語彙は、明らかに私のそれとは異なっていた。酸味や苦味といった具体的な要素についてももちろん言及していたが、私が今でもよく覚えているのは「乾いた土のような香り」というものだ。乾いた土。正直なことを言ってしまえば私には理解できなかった。乾いた土に触れたのは遠い昔のことだったし、意識して匂いを嗅いだこともなかったし、ましてやその匂いを食べ物への評価に使うだなんて想像したことも無かったのだ。正解があるわけではないし、感覚には個人差があると言われても、ここまで共感できない食レポも"アリ"なのか……と衝撃を受けた。「濡れた干し草の香り」という表現も新鮮だった。これはなぜか一瞬で感覚を共有することが出来た。干し草の香りに包まれたこともないというのにだ。語彙の少ない私は